| ●「偏頭痛と紛らわしい痛みについて」 【平成13年7月27日 山梨頭痛研究会に於て発表】 |
| 人生は頭痛と心配事の内に過ぎていく、といわれるくらい、頭痛は一般的な訴えですが、頭痛の中には簡単な薬ではコントロールできない、厄介なものもあります。 今回のテーマである偏頭痛は発作的に起こる一側性の頭痛で、しばしば強い拍動伴い、そして時に悪心、嘔吐や視覚障害が認められるとされています。しかし実際の患者さんではこれらの症状がすべてそろう事は稀であります。それ故、一側性の頭痛をしばしば、偏頭痛と誤診してしまいがちです。 そこで今回、検査をする前の問診段階で偏頭痛をも疑った症例を掲示し若干の考察を加えたので、発表する。 |
| ●抜歯による三叉神経痛 |
53歳 女性主訴 左側側頭部と左頬のシビレ痛み 現病歴 平成13年5月、歯科治療を受けた。その後から頭痛、頬の痛みが生じた。鎮痛剤を飲むも効果なく、食事もできなくなったため、6月23日来院した。 |
頸椎症による後頭神経痛 頸椎症のレントゲン(C5 C6頸椎症) |
三叉神経痛(抜歯による) 痛みをとるために上顎神経ブロックを行った。 |
| ●頸椎症による後頭神経痛 |
57歳 女性主訴 左目の奥から後頭部に及ぶガーンとした痛み 現病歴 数ヶ月前から左目から後頭部の頭痛を自覚。左手のシビレ腰の痛みを伴うこともあった。 6月29日、頭痛、瞼 の重い感じ 、左手のシビレを訴えて来院した。 |
頸椎症による後頭神経痛 頸椎症のレントゲン(C5 C6頸椎症) |
| ●緑内障による頭痛 |
64歳 女性主訴 左眼痛及び左側頭部痛 現病歴 平成12年11月2日より左眼と側頭部の持続的な痛みが出現。頭痛は嘔吐にて軽快。 11月4日未明、頭痛、嘔吐を訴えて近医を受診した後、当院を紹介された。 |
緑内障 CTの異常は認められない 眼圧 右 mmHg 眼圧 左 mmHg |
| ●ヘルペスウイルスによるハント症候群による頭痛 |
40歳 男性 主訴 右目から耳にかけての拍動性の痛み 現病歴 平成12年10月3日、右側頭部の拍動性の痛みを自覚した。10月6日、近医を受診。 10月13日右目から耳への痛み口周囲のつれる感じを訴えて来院した。ヘルペスウイルスによるハント症候群 |
| ●蓄膿症による頭痛 |
17歳 女性 主訴 拍動性の右前頬〜側頭部痛 現病歴 平成13年7月初め頃から、歩くと頭に響く頭痛及び吐気が出現した。 耳鼻科、歯科を受診するも特別な治療はなされなかった。 |
蓄膿症 上顎洞CTによって蓄膿症が確認された。 |
| ●慢性硬膜下血腫による頭痛 |
55歳 男性 主訴 持続的な左前側頭部痛 現病歴 平成13年4月より持続的な頭痛を自覚し、市販薬を内服していた。最近頭痛が激しくなり常に左手を額にあて、臥床ぎみとなった。5月15日、頭痛、眩暈を訴えて来院した。 |
慢性硬膜下血腫 矢印の部分に血腫が見られる。 |
| ●脳腫瘍による頭痛 |
77歳 女性 主訴 左前額部痛、眩暈 現病歴 平成8年11月頃より頭痛、眩暈が出現した。平成8年12月18日来院し左額部痛、眩暈、頚部痛を訴えた。 目がかすむこともあったが、鎮痛剤は有効であった。 |
脳腫瘍 矢印の部分に腫瘍が見られる。 |
| ●結語 |
| 頭痛はその発生機転から分類することが一般的に行われているが、今回、一側性の頭痛、という症状から、検討を加えてみた。 その多くには三叉神経が関与している訳ですが、さらなる原因は脳腫瘍、蓄膿症、帯状疱疹、緑内障、頸椎症、抜歯後神経痛等とさまざまであった。 当然、その治療方法は原因疾患により全く異なるので、頭痛と言えども鑑別診断がとても重要と言えよう。頭の検査と言えば脳CT検査であるが、CT検査を行う場合は蓄膿症を見落とさない為にも、上顎洞を含めて検査することを薦めたい。また眼科、耳鼻科、歯科との連携もさらに重要と考える。 なお自験例が探せなかった為、症例を掲示できませんでしたが側頭動脈炎も偏頭痛と類似の頭痛を呈することはよく知られている。 以上、偏頭痛と紛らわしい一側性の痛みについて詳述した。 |
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